かみ合わせについて
かみ合わせは見た目の問題で気にされる方は多いのですが、実は健康にも大きくかかわっています。かみ合わせの悪さを放置していると顎関節症のリスクも上昇してしまいます。また、顎は身体の中でも最も大きな関節です。
さらに、頭や首に近く、太い血管や神経がすぐ近くを通っているため身体全体にも影響を与えやすいのです。実際に慢性的な頭痛や肩こりが、かみ合わせの悪さによるものであるケースは珍しくありません。
かみ合わせはライフスタイルやちょっとした癖などによって変化するものです。そのため、かみ合わせを悪化させる原因を取り除くことも重要です。
かみ合わせを悪化させる原因
遺伝的にかみ合わせが悪いケースもありますが、後天的にかみ合わせが悪くなる原因には、むし歯や歯周病、指しゃぶり・爪噛み・頬杖などの癖、食習慣、遺伝、加齢などがあります。
むし歯は歯の形状を変えます。歯が抜けると、そこを埋めようと残された歯が移動します。歯周病や加齢は歯を支える顎の骨が痩せてしまいます。こうした原因で歯並びやかみ合わせが変わってしまうことはわかりやすいと思います。
指しゃぶり・爪噛み・頬杖などの癖は、日常的に一定の力をかけ続けることになるため、歯を動かしてしまいます。矯正治療は歯に力をかけて正しい位置に誘導させて行いますが、それでわかるように歯は一定の力をかけ続けると動いてしまうものなのです。
食習慣もかみ合わせや歯並びに大きく影響します。やわらかいものばかり食べていると顎の骨がしっかり成長せず、歯並びが乱れたり、かみ合わせが悪くなるリスクが上昇します。
かみ合わせによる身体の不調
かみ合わせの悪さは、小さなダメージが毎日、少しずつ蓄積していき、やがて顎関節症や慢性的な肩こりなどにつながってしまいます。
顎関節症は、顎を動かすとカクカク音がするようになって、進行すると大きく口を開けた時に顎が強く痛みます。さらに症状が進むと口を開けることができなくなり、食事もままならなくなる可能性もあります。
慢性的な肩こりや首のこり、頭痛は、かみ合わせの悪さによって身体全体の重心が崩れ、肩や首筋などに大きな負担がかかって起こります。歯科クリニックで微妙なかみ合わせの調節をしてもらうことで、長年悩まされてきた肩こりなどの症状が軽減することもよくあります。
かみ合わせチェック
微妙なかみ合わせのチェックは歯科クリニックでしかできませんが、大きな乱れがある場合下記のような方法でチェック可能です。
問題のないかみ合わせ
※奥歯を噛み合わせてチェックしてください。
- 上の前歯が下の前歯より少し前に出ている
- 上下の歯の間に隙間がない
また、割りばしなど、棒状でまっすぐなものを横にして噛んだ際に、その棒が水平になるかどうかもチェックしてください。
かみ合わせ治療
歯並びの矯正治療と歯をほんの少しだけ削って整える治療があります。
歯並びの矯正治療はかみ合わせなどの機能を改善することが最も大きな目的です。機能的に整った歯並びは見た目も自然で、フェイスラインもすっきりきれいになります。
歯を削ってかみ合わせを整える治療は、主にむし歯治療で変わってしまったかみ合わせを修正するために行われます。他に八重歯を削るといった治療が行われる場合もあります。
かみ合わせが悪いことでお悩みの方や、顎の音など違和感がある方など、かみ合わせにご不安がありましたら、お気軽にご相談ください。
歯ぎしり・咬みしめ(ブラキシズム)について
『歯ぎしり』や『咬みしめ』については皆さんご存知かと思いますがこれが原因で歯を失ってしまう可能性があることはご存知でしょうか?
『歯ぎしり』や『咬みしめ』を総称して“ブラキシズム”と言いますが過度のブラキシズムは口の中や周囲の組織に大きな影響を及ぼすため歯を失う原因となりかねないのです。
実は怖いブラキシズム
以前に当院にご来院された患者様は『歯ぎしり』に悩んでおりご来院されました。
起床した際に突然歯ぐきが腫れていて奥歯がグラグラしてものが食べられないという症状が出ており、以前から気になっていたものの痛みが我慢できないほど出てしまいました。
原因を探るべくレントゲンを撮ってみると歯が縦に真っ二つに割れていました。
過度な『歯ぎしり』により奥歯が破折していたのです。結局、この奥歯は抜くしかなく歯を失ってしまいました。
ブラキシズムがもたらす歯の変化
歯がすり減る
過度の『歯ぎしり』により強く歯同士がこすり合わさるため歯の表面層のエナメル質がすり減り、さらに下の層の象牙質まで達してしまいます。
上記まで削れてしまうとときどきしみたり歯が割れやすい状態になってしまいます。
更に象牙質が削れてしまうと『歯髄(歯の神経)』に達してしまい腫れたり咬むと痛みが出てしまいます。
歯がしみる(知覚過敏)
ブラキシズムがひどくなるとむし歯ではないのに冷たいものを飲んだり冷たいものを食べたりするとしみることがあります。
かぶせものや詰め物が外れてしまう
強く歯ぎしりや咬みしめをすることでかぶせものや詰め物が取れてしまうことがあります。
歯が割れる
前述した患者様のように強く毎日『歯ぎしり』や『咬みしめ』をすることで歯が割れてしまうことがあります。歯髄(歯の神経)が残っている歯でも割れてしまうことがありますが歯髄(歯の神経)が無い歯の場合、さらに割れやすいのです。
割れてしまうと治療のしようが無く、抜歯しなくてはならない為結果歯を失ってしまいます。
歯周病との相乗作用
歯周病にかかっている歯はそもそも歯を支える骨が減っている状態ですのでこれにさらにブラキシズムの力が加わることで急速に歯肉や骨の状況が悪化します。この状態も放っておくと抜歯しなくてはならないこととなります。
さまざまな器官への影響
ブラキシズムは歯や歯周組織の異常だけでなく顔面の筋肉やあごの関節などにも悪い影響を与えます。
例えば代表的な例で『頭痛』、『肩こり』などです。
- あごのずれ
- 顔面の変形
- 口まわりの筋肉の痛み
- 顎関節症
- 頭痛、肩こり
ブラキシズムは自覚しづらい??
ブラキシズムは無意識のもと行われていることが多く、ご自分ではなかなか気づきにくいのです。
例えば寝ている間に歯ぎしりをしている、運転中に強く咬みしめているなど本人が自覚しづらい状況下において起こるのです。
ブラキシズムかチェックしてみましょう!
あなたはブラキシズムの可能性がないかチェックしてみましょう。
下記に3つ以上当てはまる方はほぼブラキシズムがあるでしょう。
- 歯ぎしりがうるさいと家族に言われたことがある
- 集中しているときや緊張している際に強く咬みしめていることがある
- 歯医者に歯ぎしりや咬みしめが無いか聞かれたことがある
- 事故などではなく歯が割れたことがある
- ほほの内側の粘膜や舌の周辺に歯の跡がつく
- 歯がすり減っている
- ひどい肩こりがある
- 頭痛がひどい
以下の項目に3つ以上当てはまる場合ブラキシズムである可能性がある方です。
- 詰め物がたびたび外れる
- 犬歯やその前後の歯の先端が極端にすり減っている
- 朝起きた時に口の周りにこわばりがある
- 歯の付け根がくぼんでいる
- むし歯ではないのに歯がしみる
- 顎がカクカク鳴ったり痛みがある
- ストレスがたまりやすい
- エラが張っている
いかがでしたか?
もしも多くの項目に当てはまるようでしたら一度歯科医師に診てもらうことをお勧めいたします。
早期発見をして早めに治療をしましょう!
ブラキシズムがあるとせっかく治療をしたり予防をしたりしていても影響を受けてしまい治療経過などにも影響してしまいます。
早期で発見することで下記のような方法で改善することが可能です。
- かみ合わせを調整する
- 薄く割れやすくなった部分を覆って詰め物をする
- 修復する材料を変更する(奥歯を金属のものに変える)
- 義歯を強い構造に変更する(金属床に変更し強い義歯にするなど)
『知覚過敏や歯の鈍痛』はむし歯だけが原因ではありません!
何か食べたり飲んだりした際に歯が痛い、しみるなどを感じるとむし歯かな?と思われる方は多いかもしれませんが知覚過敏やむし歯だけが原因ではなくブラキシズムも関係しております。
例えば集中している際に強く歯を食いしばっていたりなどです。集中しているときは歯を合わせないようにするなど、意識を少ししてなるべく強く食いしばる事が無いようにしましょう。
当院でのブラキシズムに対する治療
当院では『歯ぎしり』や『咬みしめ』から歯を守るために“ナイトガード”というマウスピースを作成し装着して頂く方法をとっています。市販でも売っていますがご自身の歯にしっかりとフィットするマウスピースをして頂くため、クリニックで歯型を取ってご自身にベストなものを装着しましょう。
マウスピースを装着することで歯ぎしりや咬みしめによって歯が削れることを防ぎます。
治療が必要な歯はきちんと治療しましょう
例えば右の歯が抜けてしまったり詰め物が取れた状態でいるとどうしても左の歯でものを食べるようになります。これによって健康だった左の歯に負荷がかかり弱ってしまいます。
弱った状態の歯にさらにブラキシズムの力が加わることで急速に状況を悪化してしまうというサイクルになってしまうと口腔内の状況は非常に悪い状況になるでしょう。
このようなサイクルにならないようにまずしっかりと悪い部分の治療を行いましょう。
定期健診で予防をしましょう
当院では予防歯科に力を入れており、予防専門のケアルームも完備しております。
定期的に歯の状態を診ることで初期のむし歯や歯周病、さらにはブラキシズムにも早期で気づくことが出来るため、ずっと健康な歯を保てるのです。
痛くなってから治療をすればそれだけ時間とお金もかかります。
なにか症状が出てから歯科医院に行くのではなく、美容院やエステに行く感覚で歯科医院へ通いましょう。
定期健診は3か月に一度程度来ていただければ歯の状態をしっかりと診ることが出来るためおすすめしております。